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しっかし英語の響ぎはかっちょわりっちゃな 投稿者:後藤文彦 投稿日:05月12日(水)17時06分05秒
笛の館の主さんがエスペラントの長所の一つに中立性を挙げ
ながらも、英語の「長所」として、「響きが何となくかっこいい」
というのを挙げている点に大いに違和感を覚えたので電便でも出そう
かと思っていたら、関連する話題がこちらに出たので、せっかく
だから、ここに書きます。
まず、ある言語の響きがかっこいいかどうかということは、単に
個々人の美感に依存する問題です。例えば、ヨーロッパ人が「チャン
チュンチョン」と馬鹿にする中国語の響きは、私の美感では、高慢ちき
に聞こえる英語の響きなんかよりも遙かに美しいと思いますし、
NHK方言母語話者たちが「ずーずー弁」と馬鹿にする東北弁の響きは、
それを母語とする私にとっては、最も自然に心に響きます。
だから、笛の館の主さんの「英語の歌や演説などを聞いてみると分かる
でしょう」という主張は、英語の歌や演説を聞いてかっこいいと感じる
ような美感を持っている人たちにしか共感されないものであり(たまたま
さけかすさんはそれに「正解です!」と共感するような美感の持主でしたが)、
異なる美感を持つ人たちには何等の説得性もないでしょう(というか、
英語母語話者に馬鹿にされてきたような言語を母語とする人たちには、
強い反感を抱かせるものでしょう)。
あと、さけかすさんの「やっぱり歯切れのよい英語の勝ちでしょう!」
が英語の発音のことを指しているのだとすると、同意できません。
英語は母音の数が多く、しかもその区別が曖昧で、特にアクセントのない
部分の母音はきわめて不明瞭です。多くの単語は子音で終わるために、単語
の終わりが聞き取りにくく、しかもその聞き取りにくい部分に -s や -ed が
付くか付かないかでまるで意味が変わってしまったりします。しかも、子音で
終わった単語の次に似たような子音で始まる単語や母音で始まる単語が来ると
単語どうしをねっぱして(リエゾンして)発音するので単語の区切れが非常に
分かりにくくなります…………などと挙げていけば切りがないですが、英語は
実に発音が不明瞭で聞き取りが難しい言語の一つだと思います。
因みにエスペラントは母音はアイウエオの五音のみで、例えば、
名詞/形容詞/副詞/動詞原形/動詞命令形の単語の終わりはそれぞれ
-o/-a/-e/-i/-u という母音なので、単語の終わりが明確で、またその母音
を聞いて単語の品詞を判別できます。また、アクセントは例外なく単語の
後ろから二番目の音節と決まっているので、単語と単語の切れ目がはっきり
しています…………などなどの点を英語の場合と比べると、どう考えても
エスペラントの方が英語よりも格段に発音が明瞭で聞き取りやすいと思います。
さけかすさん曰く:
>これからも、道を踏み外さず、(主さんは大学の通信で英文学を学んでいる
>そうですね?)英語をしっかりと勉強してください!
英語を学習している人が英語以外の言語を学ぶことは「道を踏み外す」こと
なんでしょうか? 英語以外の言語も学ぶことによって、英語という民族語の
特殊性(癖の強さ)を知ることは、英語のより深い理解にも繋がると思うので
すが。
それに、英語は何年も「しっかりと」学習してすらなかなか自由に喋れる
ようにはなりませんが、エスペラントであれば「しっかりと」学習すれば、
一、二年でもかなり喋れるようになり、世界大会や海外家庭滞在などの
国際交流を楽しめるようになります。
つまり、「様々な国の人と出会って友だちになり会話も自由にできるように
なりたい」という目的で英語を学習している人がいたとすれば、その同じ目的を
エスペラントはより簡単に叶えてくれるでしょう(世界百数十ヶ国に約百万人の
エスペランチストがおり、毎年世界各地で様々な大会が開かれる。また、家庭滞在
させてくれるエスペランチストの名簿録を頼りに宿賃を浮かせて海外を渡り歩く
こともできる。等々)。
その意味では、努力が実りにくい英語でその目的を達成しようとすることは、
見方によっては「遠回りな」言わば「道を踏み外す」ことだというふうに言うことも
できるかも知れません。
(勿論、英文学を学びたいという目的であれば、英語を勉強せざるを得ないで
しょうが。尤もヨーロッパでは、日本文学を研究しているにもかかわらず、日本語
を「しっかりと」勉強していないような勘違いした人たちもいるようですが)。
http://plaza22.mbn.or.jp/~gthmhk/eigo.html
(「笛の館倶楽部掲示板」(http://www60.tcup.com/6016/nikoniko.html)への私の書込を引用)
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